多様な豊かさとウェルビーイング(※)を実現する社会のあり方を考える地域共創プログラム「日野市妄想実現課(以下、「妄想実現課」)」。デザイン思考を活用し、誰もが自分らしくいられる地域コミュニティのための「解くべき問い」をつくり出します。11月26日(火)に開催されたワークショップでは、「地域の暮らしの中で感じる違和感」をベースに、対話プロセスを通じて自分の中にある潜在的ニーズを観察しました。
※ウェルビーイング…心身ともに健康であり、社会的にも経済的にも満たされた状態であること
発想への手がかりとアプローチを手に入れ正解のない課題に向き合う
今年度の妄想実現課は、「マイナスの感情をプラスの感情に変える、解きたくなってしまう問いをデザインする」ことを目指しています。このゴールに向かって、これまで研修生同士で対話をしながら、自分自身のしあわせや違和感を探ってきました。前回のワークショップで研修生たちが模索した「地域の暮らしの中の違和感」をふりかえり、妄想実現課課長補佐の酒井は「これが正解、という答えはない」といいました。

妄想実現課では、プログラムを通じて研修生に伴走するメンターたちも、研修生の対話に参加し、妄想もモヤモヤした思いも一緒に楽しみながらゴールへと向かっていきます。今回のワークショップでは、まずはフレームワークを使って「地域の暮らしの中の違和感」を改めて考えてみることに。フレームワークでは、マクロ視点である社会の動向とミクロ視点である自らの生活行動を掛け合わせ、違和感を見つける足がかりにします。違和感を見つけるアプローチについても2つの方向性が示され、考え方の道筋が見えてきました。


さらに前回のワークショップで研修生たちが解釈に苦戦した、「地域」というキーワードについて、メンターの清水直さんは過去の地域プロジェクトのエピソードとともに「人によって捉え方が違う」という話をシェアしました。一概に定義できない地域というフィールドを自分の視点で捉え直しワークシートに向かう研修生たち。「地域の暮らしの中の違和感」を改めて考えました。
1人から2人、2人から4人。視点を増やし掘り下げる
フレームワークで自らの違和感をピックアップしたあとは、2人1組でのインタビューです。話し手と聞き手に分かれ、ペアになった相手の違和感やその理由などについて、聞き手は相手の話をじっくりと聞き、その思いを掘り下げます。1対1での対話を通して、違和感を解消しウェルビーイングな状態にするために乗り越えるべき障壁を探っていきます。


聞き手に自分の違和感を掘り下げてもらうことで、フレームワークでは気づかなかった複数の違和感に対する共通点を見つけたり、違和感の先にある思いを言語化したりと、自らのテーマを徐々に明確化していく研修生たち。20分ずつたっぷりと話し、お互いのインタビューシートを埋めていきました。
ペアインタビューを終え、グループディスカッションの時間です。ペアインタビューで話を聞いた相手の抱える違和感について、グループのメンバーに紹介し、違和感の要因や障壁についてさらに言葉を出し合い掘り下げました。個人的な違和感も、たくさんの視点が集まると、1人では思いつかない切り口やアイデアが見えてきます。前回よりも思考の道筋が整理され、グループごとにたくさんの言葉が交わされ、自分や仲間の違和感を前向きに解き進める研修生たちの姿が印象的でした。


ここまでの対話で見えてきた自分のテーマや課題をもとに、ここから最終目標である「解くべき問い」のデザインへと向かいます。妄想実現課が今年度生み出すのは、地域の課題に対し、みんなが解きたくなる求心力のある問いです。そんな問いができたら、いろんな人が動き出し、地域はもっと面白くなるはず。妄想レベルだと思っていたことを実現するのも夢ではないかもしれません。最後に酒井から、問いのデザインへのアプローチについて説明があり、最終発表に向け考え方のヒントを得た研修生たち。次回のワークショップまでにさらに自分のテーマを掘り下げ、いよいよ具体的に問いを考えます。