たくさんの支援をいただいたクラウドファンディングを経て、3つのチームでプロジェクトの実証実験が始まった妄想実現課。まちの未来に向けたそれぞれのプロジェクトの進捗や、自分たちのアイデアの実現に奮闘する研修生たちの思いを聞きました。「ふるさとブランディング」をテーマにしたCチームの企画は、日野市の魅力を再発見するしかけとなる市民参加型プロジェクト「日野市バズらせ王決定戦」です。
“バズらせたい”だけじゃない。誰もが当事者になりまちのことを考えるきっかけに
Cチームの出発点となった問いは、1期生の研修生が考えた「日野市をバズる街にするには?」というもの。そこには日野市に暮らす研修生たちが日頃から感じている、「日野市出身と言っても場所すら分かってもらえない」「伝えるべきトピックが見つからない」などのモヤモヤした気持ちがそのまま反映されていました。
「日野市バズらせ王決定戦」は、その名の通り日野市が爆発的に話題になるようなアイデアを募り、アイデアの中から王者を決めるという明快なもの。最初の問いを直線的に解決へと導くような企画に見えますが、その裏側には研修生たちのたくさんの議論や仕組みづくりがありました。企画を立てるにあたりまず研修生たちが考えたのは、「そもそもなぜバズらせたいのか」「“バズる”とはどういうことなのか」ということです。一方的に日野市をプロモーションして認知度が高まればいいのか、地域の認知度を上げることが暮らしの豊かさにつながるのか。モヤモヤした気持ちの出口を議論する中で研修生たちがたどり着いたのは、自分が本当に魅力的だと思える日野市らしさの発見と発信でした。
日野市をバズらせるアイデアを考える過程で自分が暮らすまちのことを知り、その魅力を誰かに話したくなる。自分が暮らすまちを心から「いいまち」だと思える人を増やしたい。そんな思いをかたちにしたのが「日野市バズらせ王決定戦」です。2025年9月にイオンモール多摩平の森で開催された「おしごとフェス」に、それぞれのチームのプロジェクトPRを兼ねて出展した妄想実現課。Cチームは施設の利用者に積極的に声をかけプロジェクトの紹介をするとともに、「日野市の好きなところ」「日野市のこんなことあったらいいな」の声を集めました。その場にいた誰もが当事者になれる問いかけや企画の親しみやすさで、Cチームのブースには子どもから大人までたくさんの方が立ち寄りコメントを残してくれました。
2025年11月と12月に実施した実証実験では、それぞれ2週間ずつの期間を設けて日野市をバズらせるアイデアを広く募集。Instagramや日野市産業まつりでのチラシ配布などで告知し、オンラインのGoogleフォームと市役所に設置した「アイデア募集BOX」でアイデアを受け付けました。通算で1ヶ月ほどの「日野市バズらせ王決定戦」で集まったアイデアはおよそ50件。あまり知られていない魅力のアピールや新たなイベントの企画、興味のわくキャッチフレーズなど、さまざまなアイデアが集まりました。その中には研修生たちが知らない情報や思いつかなかった意見もあったといいます。研修生たちはたくさんのアイデアを前に議論を重ねながら、最終的に11名の「バズらせ王」受賞者を選定しました。
知らないから、やったことがないから、まずは飛び込んで体験してみた
学生と社会人、そして市の職員も積極的に関わった第2期の日野市妄想実現課。日野市の職員であり2期を通して研修生として参加した、Cチームリーダーの増田隆市さんは、参加のきっかけやこれまでの活動についてこう話しました。
「私は日野市出身ですが、地域とは関わりがないまま民間企業に就職し、一昨年転職して日野市役所の職員になったんです。地域のことを何も知らない状態だったので、まずは地域の取り組みに当事者として飛び込んでみようと思い、研修生として参加しました。1期生、2期生と一緒に活動してみて、今の日野市はこんなまちなんだということを知れましたし、色々なつながりもできました」
日常の違和感から妄想を膨らませて各々の問いを立てた第1期と、解決のアイデアを出し合い実際にプロジェクトを立ち上げ実行するフェーズへとシフトチェンジした第2期。増田さんは『日野市バズらせ王決定戦』の実証実験までのプロセスを、「1回目のアイデア募集を始めるまでが大変だった」と振り返りました。
「企画の大枠が決まってから、アイデアをどうやって集めるか、どれくらいの人が参加することを想定するのかなど、正解が見えない中で答えを探しながら手探りで進めていきました。募集の方法が決まると今度は広告費をどれくらいかけるか、受賞は何人にするか、景品はどうするか…。決めるべきことが多かったですね」
企画内容をスケジュールや予算とすり合わせ、一つひとつの問題を具体的に解決しながら“0”から“1”をつくっていく。大学生の研修生、中村あずささんにとっては、多様なメンバーで集まりプロジェクトをかたちにするという初めての経験でした。
「募集や賞の仕組みを細かく詰めていくプロセスでは、本当にわからないことが多かったです。私はもう1人の学生メンバーとSNSでの発信を担当しましたが、実は普段あまりInstagramを使っていなかったんです。それで、どういう書体でどういうデザインにすればより効果的に見せられるかなど、ほかのメンバーの使い方や技を見て学びながらやっていました」
初めてでわからないことやあまり得意でないことも、メンバーとサポートし合いながら進めていったCチーム。中村さんは妄想実現課での活動を、「未経験のことが多かった分、できることが増えた」と捉えていました。
地域とつながり発展していくプロジェクト
Cチームは自分たちで企画した2回のアイデア募集のほかに、滝合小学校の6年生の授業にゲスト参加するという、予想していなかった地域との連携も生み出しました。地元の魅力を知るという趣旨の授業に、地域の若者たちが取り組む「日野市バズらせ王決定戦」がフィットしたといいます。授業では研修生が妄想実現課やプロジェクトについて説明し、総勢75名の小学生がグループワークで日野市をバズらせるアイデアを考えました。「大人とはぜんぜん違う目線で面白かった」と中村さん。子どもたちからたくさんの質問を受け、ほかでは得られない体験となりました。
プロジェクトの実装プロセスでの経験、そして集まったアイデアや小学生との交流などを通し、研修生たちは知らなかった日野市のことを知り、それぞれの「日野市らしさ」を見出していっています。妄想実現課への参加が自分にもたらした変化を、中村さんはこう話しました。
「私は日野市に住んでいても地域のことを全然知らなかったし、市の職員の方と一緒に活動をしたこともありませんでした。この活動を通して職員メンバーや社会人のみなさんの動きから学ぶことがたくさんあったと思います。また地域を見る視点がすごく増えました。私は4月から社会人になりますが、プロジェクトの企画運営や広報など、ここでの経験を活かしていきたいです」
第1回、第2回のアイデアの募集と「バズらせ王」受賞者の選定、発表を終えたCチーム。受賞者には「自分が暮らす日野市の魅力を知ってほしい」というCチームの思いを込めたTシャツやトートバッグ、エコカイロなどの景品が贈られました。ここからは改めて自分たちの問いやプロジェクト全体を見つめ直し、成果報告会に向けて考察を進めていきます。
「日野市バズらせ王決定戦」にご協力くださったみなさま、ありがとうございました。
※「日野市バズらせ王決定戦」の受賞アイデアはInstagramに掲載しています。
—「日野市バズらせ王決定戦!」Instagram—
https://www.instagram.com/hino_buzzking/